『絶対の追求』

 

 樹に見えるが、葉脈のような枝葉が一枚の葉の形(縁取り)の中に描かれている。

 地平線に視点があることから、この樹はとてつもなく巨大である。にもかかわらず一葉の形は見上げる視点ではなく中空にある。

 矛盾は明らかであり、落陽はあたりを朱く染めていないという光景。

 地平線は遠景であるにもかかわらず近景のような凹凸が認められる、しかも山々がさらに遠く在るのは正しい眺望とは言い難い。

 

 これら条件を当たり前のように画面に収めたマグリットの真意は《矛盾・不条理》であり、非現実(虚偽)である。

 『絶対の探求』比べるもののない理を外した光景は物理的条件、生物学の条件、観察眼(視点)の条件、重力下の地理的条件など総てを外している。 

 

 《全否定》総ての矛盾。

 矛盾そのものを静謐に悟られないように誤魔化し、告発しているようでもある。

 換言すれば《全否定の肯定》であり、絶対の探求の大いなる肯定である。

 

 写真は『Rene Magritte』カタログより