『出現』

 

 出現とは何だろう。曖昧模糊とした不穏な世界(混沌)から何かが発生する。出現する実態は偶然か必然かは不明である。

 無から生じるものは目撃者が不在であるから断定は拒むもの(謎)として処理せざるを得ない。

 

 混迷(暗雲のような流動)、各色の菱形の連鎖は閉じられており中は漆黒である。黒、光彩の皆無は語るべき手掛かりはないが虚空という存在ではある。

 他方の各色に彩られた菱形の連鎖は開口があるが増殖か減少は定かでない。現象として閉じたものと開口があり混迷(暗雲のような流動)と融解している。この融解が始まりか終末かを判断する手掛かりがない。

 菱型、彩色、封鎖、開口は観念的、つまり人の叡智による約束事項である。

 

 存在とは何か、無からの『出現』だったのか。

 『出現』を認識した時点は人智による憶測に過ぎない。宇宙そのものを問うことに答は見いだせるのだろうか。

 証拠はすでに残存していない、否、発見はあるのだろうか。全てを元素に還したとしても・・・。

 

 『出現』はマグリットの問いであり答えである。単純化された混沌における風穴を人類は探求し続ける義務を負っているのかもしれない。

 

 写真は『Rene Magritte』カタログより