『色彩の変化』
色彩、カラー、色。見ることで甘受し得る傾向・性質であり、色調は星の数ほどの微妙な違いをもつ。
把握、断定は任意であり、同じ色彩であっても空気の様相により差異を余儀なくされるものである
作品は(変化)という広範囲な流動を指定している。
枕(就寝、夢)、二つに区分された額(フレーム)の片方はブルーの地に白い気泡(雲)が浮かんでいる。(換言すれば自然である)
床と壁の線は枕が蔽っているので続いているものか切り離されたものかは不明である。(人の思考に委ねられたもの、人工)
黒と白の線状の面は平面であるのか奥行きを持つものなのかは断定できない。(認識と在るがままの自然との対峙)
これら対象物は一つにまとめられているが、空間を等しくするものなのかを距離的に図ることは難しい。フレームの影がグレーの壁と思しきものに投影されていることで接着(持続)を否定し、ある距離を以て隔離、浮上している図である。
枕が《夢》を、背後の黒白の模様がベタ《平面》なのか《空間》なのか・・・フレームの中の黒色が《虚空》を意味するものかはすべて断定を拒むものである。単なる寄せ集め(アッサンブラージュ)なのか。
重量を持つ枕(現実)が夢想(非現実)を示唆しているものなのか。
あらゆる観点、視野を検証することは遊戯的であり本質を得ることは不可能である。
つまり『色彩の変化』とは、把握不能な決定を拒否するものであるという論拠であり色彩の深さは夢想を超え、永遠の虚空に至るまでの時空を有するものであるという仮想を証明する作品である。
無彩色(闇)から光(光彩)への領域は無限であり、見えない雰囲気(質量)を醸し出すが実質的な質量は伴わない。
認識が決定を要約し得るということが(応え)であり、変化に規則性はない。自然界の発する色彩を人為的な感性が呼応するものである。億万(無現)の色彩は常に変化を余儀なくされるものであり、類似はあるが合致はない。
『色彩の変化』は自然界における生々流転、空間(距離)との複合的な条件により変化するものであり定着という普遍は皆無である。
写真は『Rene Magritte』カタログより