夜の色に沈みゆくなり大牡丹

 

 大牡丹の立ちのぼる光輝に恍惚とする。

 今この時の大舞台を我がものとして凝視を許される幸福、いつまでもの想いに酔いしれる。留まらぬ時の残酷、時よ止まれの願望は切に裏切られていく。

 

 理の当然・・・時の刻みに容赦はない。

 夜のとばり、大牡丹に抗う術もない。

 

 時の栄華に夢の続きはない。

 夜の息づかいは大牡丹を巻き込み沈めていく。

 美への陶酔、一点凝視の崩壊感覚は夜の扉を開いて嫋やかに笑う、大牡丹をやさしく沈めながら吾(作者)を置き去りにして。

 

 大牡丹が夜の怪しい気配に沈んでいく。時間と宙宇と己と彩色。流動する虚空の一点に立つ作者の沈黙、微かな声を聞く。