『無題』

 

 この場所を特定できないが、舗装道路の上に立つ男女の姿がある。

 フェンスの向こうに手掛かりはなく不明な時空である。

 男女の区別、父母だろうか。男は薄い板状であり女はふっくらした立体状のビルボケであり、双方ともに楽譜(音符)を纏っている。

 

 女の肖には枝葉が激しく生えている。(エネルギーの充満、活気)

 男はごく淡白な風情である。この二人は近距離に描かれているが、二人が向き合っているのか背を向けているのかは不明である。しかし波風なく嵐(争い)の兆しは皆無。穏やかであって欲しいという亡き両親に対する願望かも知れない、内実はともかくとして。

 

 『無題』である。この画以上のコメントはなく、空疎ともいえる画(作品)は両親の冥府での肖像(夢想)であるかもしれない。

 

 写真は『Rene Magritte』カタログより