『ハゲタカの公園』
死骸をも食いつくすというハゲタカ、荒涼たる公園の図である。
黒い無窮の山並み、しかし手前だけは赤黒い(黒くなる手前、すでに黒化しつつあるが未だ生の残存を醸す赤である)。
この異様な景に置かれた箱、生えている木は箱の中であることにより成長(未来)を押しとどめられている。規則的に打たれた点描は時刻を打つものか・・・空気穴のようでもある。規則性を持つものの認定は人類の英知に因る発見であり、死地(冥界)に至っては不明である。木の根元は地面であるはずだが波打っている(異質である)。
生の存在を認められない空漠、恐ろしいまでの空虚な背景の中の唐突な箱(生を象徴する有機たる樹木)は、冥界の領域に侵入してきた新しい死者ではないか。漆黒の界(本当の霊界)への侵入を阻む後方の二つの策、突きだ出たパイプは現世との連絡を暗示する望みのようである。
幼いマグリットの負った母の死という厳しい現実、終生消えぬ深い傷への煩悶。作品は個人的であるゆえに、だからこそ普遍性の壁を突き破る血塗られた慟哭を見るのである。静観ゆえの悲しみがある。
写真は『Rene Magritte』カタログより