『現実の感覚』

 

 田園風景の上空に巨岩石が浮いている景である。

 地球は球体であるが巨岩石は球体の態ではなく宇宙の圧を受けない態である。飛んできたものであれば落下は必至であり、中空に留まることは不可である。

 わたくしたちが知るところの現実(田園風景/地上)に重なる巨岩石の時空は明らかに異なるものである。いわば二重の風景は『現実』と『非現実』の重複した世界である。つまり観念と空想(観念の破壊)、見えるもの(視野)と見えないもの(知的構築)の対峙、存在と内的存在、思考の原初たる風景である。

 

 二十六日ごろの月を配した景は確かに一日の始まりを呈しており《自由/観念の破壊》の啓示は現実世界への沈黙の否定である。

 

 写真は『Rene Magritte』展、カタログより