フリーターですと答えてしばらくの間相手の反応を見る

 フリーターですと答えて・・・相手がわたくしを問うたのである。みずからフリーターを名乗った訳ではない。

 フリーター・・・大抵は定職を得るまでの短期間の従事であることが多いが、やむなく長期間というケースもまま無いとは言えない。フリーターの最大の特色は、いつでも辞める自由があることで、人生を縛られるような拘束感が無いことである。ただ、生活の保障が欠如していることは不安をあおり、人生設計に於いての基盤に影を落としかねない事情がある。

 定職の安定、パワハラの横行で自殺にまで追いつめられることが有るという勤務における人間関係では《フリーター》の自由は眩しいかもしれない。また、障害や高齢という条件を鑑みるとき《フリーター》の気軽さは羨望をきたす。また、経営の破綻、借金地獄など世間のありようは凡庸ではない。
 あらゆるケースがあり、複雑な状況の中で《フリーター》は微妙な位置関係にある。フリーターの微妙さは「あなたは何者か」と聞いてきた相手の立ち位置により大きく異なるのではないか。優越の測りがたい眼差しは本能的なものであり、卑劣な感情は沈黙の中に隠される。

 この微妙な空気感、動かない空気が静かに激動する《しばらくの間》は、この歌において見事に浮上している。