『オルメイヤーの阿房官』

 レンガ積みの塔の内部は空であり下部は木の根である。
 背景のオレンジのベタという彩色は不穏な空気醸し出している。

 この時空を特定できない。大地も天空もなく、浮いているのか沈んでいるのかさえ不明である。

 木の根はしっかり張っている、土着。根付いていたという過去かもしれない。
 廃墟と化した塔は遺物として残存しているが、空虚であり、意味を失っている。しかし、消えずに痕跡を残すという強靭さがある。

 ただ、やがては・・・という運命を示唆しているのかもしれない。
 これが何かは判らないが、権力・支配につながるものであることは察しが付く。ある強大な世界観が作り上げた巨大な塔のなれの果て・・・にもかかわらず、その痕跡は消えないだろうという推測である。

 時代の変革のなかでも阿房官/Follyは深く根を張り続けるに違いないという恐怖にも似た推測に作者は対峙し、ため息をついている。

 写真は『マグリット』展・図録より