『旅人』

 水平線がかすかに見える、その中空に球体が浮いている。
 椅子、トルソ、鏡、ライオン、樽、管楽器、ミシン、植物・・・etc。

 生きるのに必要な物、物理的にも精神的にも必要欠くべからざるものの集合である。もちろん球体ゆえに反対側にも匹敵するものがあるに違いない。
 これらが宙に浮いている、つまり重力を持たず自由に浮遊し水平線上、上空から地上を俯瞰しているということである。

 地上の律から解放されることへの憧憬、旅人は常に脱出を望むものかもしれない。希望の景観、精神の自由に地上の法(律)は通用しない。

 写真は『マグリット』展・図録より