『告知』

 画面はある種の空想風景である。
 地面は一枚岩のように滑らかで男女を想起させる岩の塊が複数散在している。木々の葉は異様なまでに同じであり、この木々がヒューマンスケールでいう自然な視点であるが、見あげるような二つの人体を模したビルボケも視線は正面にある。
 中央に立つ壁のようなものは馬の鈴(伝説・うわさ・流言etc)、四方八方永遠に連鎖する切り紙は精神だろうか・・・。

 明らかに空想上のオブジェの寄せ集めである。
『告知』というタイトルからは、受胎告知を連想させる。キリストの誕生、大いなる神は『聖書(文書)』の中から出現している。
 人智の最高傑作ともいえる『聖書』は世界を私的な世界に質的変換を果たしているのではないか。
 疑惑と検証がこの絵に潜んでいる。答えの見つからない問いがここにある。

 写真は『マグリット』展・図録より