
『ことばの用法』
煉瓦の壁と濃い暗色グリーンの壁が半分に仕切られて繋がっている背景である。
主体は薄グレーの平面、不明確な形(人を連想させる)の中に、canon corps de femme arbre の文字がそれぞれ任意の位置に書かれている。大砲、女の身体、木。
即、意味を思い浮かべる。しかし、意味は無意味にただそこに書かれているだけであることを知る。関連、誘いだすイメージはない。
『ことばの用法』言葉は伝達・媒介である。目的があり、伝える力がある。しかし、置き去りにされ、投げ出された言葉の無力もまた真実であり、人智の及ぶ範囲にはない。
共通言語をもたない他者にとっては単なる記号、羅列にすぎず、その役目からは遠い。言葉は約束であるが、排他的でもある。言葉への全面的な心服は一部に留まらざるを得ない。言葉の用法は開いているが、閉じられたものでもある。
写真は『マグリット』展・図録より