そんなはげしい風や雪の声の間からすきとほるやうな鳴き声がちらつとまた聞えて来ました。雪童子はまつすぐにそつちへかけていきました。雪婆んごのふりみだした髪がその顔に気みわるくさはりました。
雪婆んごは、遠くへ出かけて、西の山脈の、ちぢれたぎらぎらの雲を越えて、遠くへでかけてゐたのです。(略)雪婆んごがやつてきたのです。(略)雪婆んごがやつて来ました。(略)雪婆んごは、また向ふへ飛んで行きました。(略)雪婆んごはも一度、南から北へまつすぐに馳せながら云ひました。「あたしはこれからまた海の方へ行くからね。」
雪婆んごは月の化身であり、《死神》ではないか。海の方へ行く。海はカイと読んで晦(晦日)。四日は朔日から数えて四日目の月(三日月、おわん型の月)
雪婆んごのふりみだした髪・・・。
ふりみだした(振乱)はシン・ランと読んで、親鸞を暗示し「善人なおもて往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」を感じる。
気みわるく/feel uneasy → unearthly/神秘的な
脈絡ではなく、何気(曖昧)に潜ませている。もちろん言葉通りの読み方で、その通りなのですが、不思議な余韻を感じ読んでいます(悪しからず)。