雪童子は、風のやうに象の丘にのぼりました。

 雪婆んごは(略)ちぢれたぎらぎらの雲を越えて、遠くへでかけてゐたのです。

 雪狼は(略)空をかけまはりもするのです。

 雪童子、雪婆んご、雪狼は重力に無関係に流動する気体(目に見えないもの)であり、子供(死の境界を彷徨するもの)をめぐり、現世と来世を行ったり来たりする神的存在である。

 二疋の雪狼は(略)象の頭のかたちをした、雪丘の上の方をあるいてゐました。
 雪童子は、風のやうに象の丘にのぼしました。

 象はショウと読んで、招(手招き)、あの世へ招く入り口ではないか。

※すべて二重の風景である賢治の作品、現世における救済、来世からの救済の二つが重なり合う構成だと思う。