タイトルの見事な分解、崩壊、離散、不明によって《無》に帰したタイトル。しっかり書いてあり、一つ一つは意味があるのに羅列によって霧消させるという意図は何だろう。

 大ガラスの中には『花嫁』『チョコレート粉砕機』『9つの雄の鋳型』・・・。
 デュシャンの作品が封じ込められ、一体空間と化している。
 偶然、一瞬の切り取り、そして必然。すべてはっきりした限定、決定を受け入れないものばかりである。
 存在しているが、生産性はなく道理に矛盾しているこれらの主張は鋭利な眼差しで鑑賞者の脳天を突き刺す。『9つの雄の鋳型』に見る性の不確定、雄だと言っているがどこにも雄の証明はなく、雄というタイトルだけで雄を承認してしまう安易さ。

 総てが揺れ動いている。《現象》の一刹那である。


 写真は『DUCHAMP』 www.taschen.comより