雪婆んごは、遠くへ出かけて居りました。
 猫のやうな耳をもち、ぼやぼやした灰いろの髪をした雪婆んごは、西の山脈の、ちぢれたぎらぎらの雲を越えて、遠くへでかけてゐたのです。

 雪婆んごは《月の化身》であり、遠くは(現世)である。

 ひとりの子供が、赤い毛布にくるまって、

 ひとりの子供は、子供をシ・キョウと読んで、死境。死の境にいる人の意。
 赤い毛布は、セキ・モウ・フと読んで、晰、亡、訃。晰(明らかに)亡(死んでいる)訃(死の通知)を受けた人である。だから必ずしも子供ではなく、死の宣告を受け、生死の境界を彷徨っている人、魂である。