繰り返されるゴーシュ(地球の精神)とくゎくこう(死にゆく人)の葛藤場面。
「あなたのはいゝやうだけれどもすこしちがふんです。」
「何だと、おれがきさまに教わってるんではないんだぞ。帰らんか。」
ゴーシュ(地球の精神)を灰いろの鳥/くゎくこう(死にゆく人)より上に置いておらず、同格、平等の立場である。むしろ、くゎくこうがゴーシュを諭している。
鳥のほうがほんたうのドレミファにはまってゐるかなといふ気がしてくるゴーシュ。
「なぜやめたんですか。ぼくらならどんな意気地のないやつでものどから血が出るまでは叫ぶんですよ」
灰いろの鳥に過ぎないくゎくこう・・・人間どんな意気地のないやつでも死ぬときは一生懸命のどから血が出るほどの覚悟で臨むんですよ。
はげしく硝子へ頭をぶつけるくゎくこう…見ると嘴のつけねからすこし血が出ています。死闘まさに死闘である。
ガラスは二三枚物すごい音して砕け窓わくのまゝ外へ落ちました。そのがらんとなった窓のあとをこゎくこうが矢のやうに外へ飛びだしました。そしてそのままどこまでもまっすぐに飛んで行ってたうとうみえなくなってしまひました。
臨終・・・現世から冥府への見えない窓、どんな意気地なしでも血が出るほどのエネルギーを要する死出の旅、外国は見えないほどに遠い。