ははの忌の棘美しき枳殻かな

 亡くなってしまった母、今はもう心配して忠告してくれることのない母。
 枳殻の花は白く香りは清涼である。でも、ミカン科はみんなそうであるように棘がある。
 美しい枳殻の棘・・・あなたの子供として美を由として生きているだろうか。ごめんなさい、心に負った傷は癒えないまま、母の忌の前で悔やんでいる。
 母の𠮟責をもう聞くことはない。あなたを苦しめたかもしれない恥ずべき娘の行状の数々、《棘美しき枳殻》を戒めの訓として生きていけたなら・・・。

 ああ、お母さん、嘆かないでください。お母さんの悲しみ(棘)は心の中の訓として活きつづけるのですから。