ひと在らぬ踏切わたる美濃の秋

 ひと在らぬ…誰もいない、人の気配のない踏切。
 向こうから列車の汽笛が、やがて走りくる列車に胸が高鳴る。この踏切に立ちさえすれば、留まりさえすればあの世は近い。
 幾多の命が消えた信長の美濃攻め、歴史の地に立っている。わたし一人が消えたところで何のこともないという感傷。
 美濃の秋の寂寥、わたし一人が踏切という凶器の前で立ちすくんでいる。