
Ⅱ-1-1 自分自身が目前の空間を知るための模型Ⅰ
自分自身の目前の空間・・・視覚に収まる領域を超えて感じる世界(光景)。目をつむってもいいかもしれない、あらゆる感覚器官を行使して確かに感じうるものを、触覚に変換し距離を測りながら質量を伴ったものへと置換していく。
空気感、振動が伝える距離感と質感、内在する不思議な衝動。位置、大きさ、それらは静音のリズム、振動として作家に響き伝えている。
見えることと、感じることの差異、あるいは同質。すべてをそぎ落として残存するある種の手触り。
地上の突起(木々や林や人々、建築物)、地下の水脈(せせらぎ)。この地に立つ(存在する)と言うことの条件。作家自身も大地(世界)における付属物にすぎないが、自身の主張である目前の空間。
なんという静謐な空間、しかし、この現時点の高さを知らない。平地だと思っている場所が山頂なのか海底なのかを測れない、精神的な領域であれば。
わたしは世界の中に存在するが、世界はわたしを束縛する、この共犯関係においてわたし(作家)は世界を《目前の空間》と呼ぶ。きわめて私的空間にすぎないが・・・。
写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館