煙草の灰ふんわり落とす蟻の上
蟻に個性はあるだろうか、あるかもしれないが誰に確認されることもなく忙しく収穫物を運ぶだけである。もちろん蟻と呼ばれるだけで名前などない。集団(仲間)としての連帯感、女王蟻に従うべく動き回る名もなき蟻、同情されることもなく使命のままに生きている。
蟻は猛スピードで動いているけれど、人間から見れば遅々たる動きでしかない。人は巨人である、蟻なんぞ一ひねりの哀れな存在にすぎない。懸命に使命を果たすべく働く蟻の上に、人間様の煙草の灰をふんわりかけてやる。
蟻は死ぬだろうか、すぐさま逃げ出して人間を嘲笑うだろうか。
わたしは強者として、傲慢にも蟻一匹の命を預かる支配者と化す。この愉楽、この悲しさ、哀れ。
灰を落とされた蟻は《わたし》である。