1-5-10 振動尺(手元)(部分)

 各種のパターン・・・丸だったり波、あるいは直線、楕円。
 振動尺、振動の単位、微塵にまで戻し、形に還元して想起する作業はとりとめもなく自由で開放的で拡散、あるいは凝縮の態である。

 しかし、総ては習い覚えた形の分解、羅列であって、自然界と一致することはないと思われる。自身の内なる形、印象である。
 胸の内なる鼓動は総て世界(環境)と共にあり、形・色はそこから抜け出ることはできない。記録は瞬時同時性を有して真実であり、嘘の入り込む余地はない。嘘ではないが、学習された観念的な、視覚から得た情報の再現に他ならない。

 表現は精神の模倣である。対象が不可視なものであっても二次元に還元すれば、学習されたデータの再現であり、それ以外は無いということを覚悟し、情報の手掛かりは人智の発展(歴史)に基ずく条件を決して外せない。むしろこの事が、振動尺の基軸であるという発見かもしれない。


 写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館