ときをりは憶ふ或る事たんぽぽ黄

 ときをりはね、ふとした瞬間、あなたとのことを思うよ。
 不可逆、決して戻ることのできない過去の幻影。たんぽぽみたいに地味でありふれた、どこにでもある恋のお話。

 でもなぜか、光っている。光彩を放つたんぽぽの黄は見上げた陽の光に等しい。眩しすぎて悲しい或る事・・・ひそやかな誰にも言えないわたしの秘密。

 ときをりは・・・いいえ、いつも、いつだって胸の奥底、消えることなく憶っている。たんぽぽの不滅、不滅のたんぽぽの黄である。