Ⅰ-4-5 〔無題〕Untitled

 名づけられないもの、答えの無いものである・・・起伏(山)があり平地(海のようでもある)がある光景。
 人為的に掘削された領域、垂直な切り通しである。自然への冒涜、生活のための営為。景色は矛盾を孕んでいる。
 人が自然の領域を侵していくことの発展・進歩は垂直の壁に見るような危険度の高い不安を内包している。

 ごく単純な山川の自然、人の叡智、生活は自然を脅かしているが、自然は主張することも争うこともないので景色は人間の思うままである。しかし、この作品は警告している。
 この作品の警告は言葉ではなく、形という静謐で時間と熟慮を要するものであり、ねじ伏せて聞かせるものではない。


 写真は『若林奮ーVALLEYS』展より 横須賀美術館