Ⅰ-4-7 Untitled

 正立方体のようなものがびっしり隙間なく縦横に並んでいる。しかし、下部に角柱状の空洞がある。貫通しているか塞がれているかは分からないが地下の空洞である。
 空洞はトンネル状(円形で通路面のみを水平に切ってある)でない限り、力学的に見て崩壊を免れ得ない。つまり極めて崩落の可能性が高い構造である。

 この示唆するものは何か。
 地上からは決して見えない危険の内包である。しかし、これは自然にはあり得ない景色であって人為の成せる光景である。自然の営為は力学的に説明がつくが、この形状は観念的であり、未来(時間の経過)を待たないほどの壊滅である。

 一見、静かな光景の持つ恐怖。
 作家は一寸先の闇の脅威に杞憂している。見えないが、確かにあるに違いないという空想上の恐怖である。
 心理的な動揺の起因は闇に潜んでいる。見えないが確かにあるに違いないという憶測は、時を選ばず出現する誰しもが抱く不安である。


 写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館