
『1-2-2 中に犬・飛び方』
中に犬・・・囲まれている、何に?
飛び方・・・確かに浮いている(かも)。
How to fly、飛び方。
この条件を満たす答えは何だろう、飛ぶとはどういうことだろう。地上から離れる、すなわち、重さに比してとんでもないほどのエネルギーを要する行為である。
犬を自身の謙称として、通常地上において安息を得る生物(自身)が、空中を浮上し、しかも移動を可能とする方法。
中間にあるものを犬だと認めて、上部の鉄板には泡状の膨らみがある。これは下からのエネルギー(力)によるものだと理解でき、この二つには因果関係があるような想定がある。けれど、犬には吊り上げられているような線条もあるが、他方には下降を加速させる重しのような塊もある。
落下せざるを得ない重し(重力)と、引き上げるかの線状はこの作品においては均衡がとれている。
中に犬、存在するものは空気中に在る。この条件下での飛翔は重力との戦いであり、重力を突破するエネルギーの確保である。
『1-2-2 中に犬・飛び方』とは、希望というより現実の残酷な、抵抗の過多ではないか。にもかかわらず、《飛んでみせる》という静かな反骨、噴射のエネルギーへの憧憬、現実突破の鍵、…悟りへの道筋さえ感じてしまう。絶望(決して飛べない)への静謐な眼差しがある。
写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館