
『1-2-1 残り元素』
残り元素? 万物の基本的な構成要素、化学的に分解して得られる最小の要素の《残り》って? まだまだ人工的に作ることが残っている?
与えられたとせよ、ではないが、最初から最後まで有るのが元素ではないのか。
元素の残りなんて言うものがあるのか、考えたことがない。
人間は浮いているのか、非常に安定を欠いた状態葉であり、よく見ると手足が欠けている。つまり、どうにもならない不測の事態である。その背後に砲弾のような重機があり、これもそれらしい塊と化している。
破壊・破滅・・・世界の終わりを象徴したような、否、一歩手前、崩壊寸前の事態である。というか、すでに滅亡の残骸なのだろうか。
精神は失われている。物理的再生に可能性を見いだせない。見える景色は《絶望》だけである。
『残り元素』とは世界の終わりの眺望を覗き見たものかもしれない。始まりがあれば終わりがあるという前提のもと、希望の欠如した予測めく光景である。
写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館