1-1-7〔無題〕
とりとめもなく、何と決定づけられるものでもない。現存するようでいて見たことがなく、不可解な断片。手触りもこれと言って記憶の範囲外である。
しかし、心のどこかで出会ったかもしれず、否定も定かではない。この曲線、連鎖、ぼこぼこした不気味な凹凸、不連続でありながら連鎖していくことを予想させる。確かにこれは断片らしく切断面がある。この先下降していくのか上昇あるいは直進するのかは不明であるが、危ういバランスで立っている。
もし、精神、感覚に質的変換を施すならば、こんな感想になるのかもしれない。もちろん答えは千差万別、綿などの不安定・不確実であるやもしれない。
作家自身が感じうる感覚・空気感、世界との対話を凝縮し、手の中に収めるという試みである。
共通の答えではなく、自身への問いに応えた形態は、転倒を余儀なくされるような、しかし辛うじて鎮座しているという風でもある。経験したことなない手触り触覚は精神に呼応している。
写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館