『不明確性について』

 不明確性についての作品である。
 不明確性とはこれである、と言い、不明確であるからよく分からない、という二つの答えを孕んだ作品の提示は、問題定提議である。

 木製の板には方形の空間(溝)があり、金属板で方形の空洞として埋められている。通称トンネルの形をしているが上部は平らで上から圧すものはない。
 厚みのある板は大地(地上)だろうか、上部は金属板に等しく平坦である。四角あるいは丸(点)が整列して打たれている。連続しているようだが、不連続でもある。

 断面から覗くと空洞は穴であり閉塞の不安と人智の工作の合併である。通路、抜け道・・・地上からは見えない時空は人智による隠ぺい(秘密)か、繁栄のための仕事によるものか不明である。美しさも機能も地上からは見えない。見えないが、有るに違いない地下の空虚(世界)。

 木板は世界だろうか、打たれた鋲は統治下の人民の暗喩だろうか。
 全く何の役にも立たなそうな不可解な代物は作家の意図であり意思であり、問題提議である。捉えようとするとスルリと答えから外される亀裂の感。
『不明確性について』は、作家の視点、眼差しのありようを的確に表しているのかもしれない。


 写真は『若林奮ーVALLEYS』(横須賀美術館)より