
『同族意識』
男女らしき二人を俯瞰、傍ら(背後)に大きな球体がある。空を薄赤く染めた地平線ははるか向こうに見えるが、朝夕の判別は定かでない。
この絵を最も異様にしているのは魚が天を向き直立していることである。直立歩行は人間のみの形態であり、ほかの動物生物にはない傾向であれば、明らかな虚偽を指摘せねばならない。
『同族意識』、意識であれば物理的根拠は不要かもしれないが、一寸の虫にも五分の魂・・・ということでもない。
DNAを辿れば、ということだろうか。
大きな球体は《絶対の真理》に思える。核の中には入れないが、常に周囲で問題の解答を審議しているのが人間であるとも考えられる。しかし、魚の立像(不条理)がずっと手前に座しているのは、驚異である。手も足も出ず、攻撃すらできない魚が人間界をはるか俯瞰する位置にいる、いわば《神》の位置でさえある。
『同族意識』、意識(精神)の領域である。ならば、神も魚も人間も同列、ひとしい仲間であるという一種の信仰(観念)の破壊につながるのではないか。
写真は『マグリット』展・図録より