『神々の怒り』

 神々とは何を指しているのだろう。複数の神、自然の律として考えていく。
 自然とは歩いたり走ったりという自力であり、馬の疾走、燃料による車の疾走は共に他力である。

 神が与えてくれたとする身体を、他のエネルギー消費によって時空を切り抜けていくことの驚異は神にとっては脅威なのだろうか。

 発明、進化、文明の機器は人の生活を時短にする。時空を収縮させるなどありえない暴挙である。自然界を守る神々にとって、人間の叡智は神への畏れを捨てていいる。
 馬を走らせ、自然燃料を我がものとし車を走行させる人間の優位は、神々にとってはおぞましいものかもしれない。

 人間の叡智は自然を冒とくし、しいては神々の怒りを買うものであることを誰も考えない。当然の権利とさえ考えられ、文明を肯定している。
 神から与えられたとする自然の営みをはるかに超越し、利便を日常化する人間を、神秘の領域から覗く神々は黙って耐えている、この現実を誰も知らない。


 写真は『マグリット』展・図録より