『ヘーゲルの休日』

 雨傘の上に水の入ったコップがある。この均衡はただものではない!
 常にこの均衡は崩れないのだろうか。多分、こぼれたり、蒸発したり傘の中に入ったりするかもしれない。
 背景は薄オレンジのベタであり、時代を問わない約束である。

 雨傘が描く弧・・・これは地球に例えているのではないか。
 地球の歴史、水は傘(地上)の上、空へと蒸発し、雲となり、雨となり、地中(傘)に帰る。大いなる地球の水の循環の、人あるいは生物はこの水なしに生命を維持することはできず、常に水とともに在り続けている。

 雨傘の上のコップの水、これ以上不安定なものはない。しかし、億年の歴史を支え続け、この枯渇を見ることがなかったゆえに歴史は過酷な時代をも連鎖し、今日につなげている。
 コップの水を支えているのは雨傘(地球)であるが、雨傘はコップの水なしには存在理由を失ってしまう。存在の根源はここにあるという証明である。


 写真は『マグリット』展・図録より