
視線(焦点)は、水平線にあり、巨岩石は見上げる位置(中空)にある。
巨岩石(世界)を見る眼差しはずっと、遥か遠い距離の隔たりがある。ずっと遠く、たとえば地球から月を、月から地球を見るといった遠隔である。二つの視線の合成であるが、時間にもそれに付随した差異があり、人智で測り得ない次元の交錯、重なりである。
この画の必然は何か。
現世が硬質(岩石)に変わり果てるほどの時間を経過する…つまり未来人の記憶に抵触したときの想像上の形を任意に置換し、空に浮かべたというわけである。
現世、今の地球の歴史を唯一と考えるから、《岩石の上の城》を見れば現世が未来の過去だと思うが、【もしかしたら】を加えると、更なる過去があったのではないかと考えられる。地球創世の以前であり、今の太陽系の前である。
輪廻・・・はかり知れない過去があり、はかり知れない未来があることの証明である。『ピレネーの城』の幻は、繰り返される宇宙の歴史の痕跡である。
写真は『マグリット』展・図録より