『城』3581。そんな愚にもつかなぬことを考えていたから、きみは、ここで自分の地位を維持できなかったのだ。当たりまえのことじゃないか。きみがひどく自慢しているその服や髪型からして、きみたちの女中部屋の暗がりと蚕の棚のようなベッドから生まれてきたものにすぎんのだ。☆こんな考えでいたから、君は個々で主張できなかったんだ。全くはっきりしている、すでにあなたの服も元気も褒められることなく、ただ暗く消えていく各々あなたのテーマとしての願いにすぎない。