
空は空のままである、しかし、地上の闇には人の思惑が隠れている。どうしても見えない不確定な闇がある。人はその中で暮らしている。昼なお暗い闇は天空の青空との間に差異がある。解明できない構造は人の歴史が作った闇でもある。
『光の帝国』は不動に見えるが、歴史が常にそうであったように決して盤石ではない。天の普遍に比べたら、儚い幻のような刻みかも知れない。
人は光を創り出したが、天空の眩い光には到底かなわない。故にこの画は自然と人為の対比とも思える力関係である。支配者の横暴、思い上がりに失笑をきたすものかもしれないが、支配なくして国の成立もなく、帝国は自然の成り行きであり望まれた形でさえある。
守るべき帝国の社会、人々の暮らしはこの約束の中で保護されているように見え、自然との競合、安らぎも幸福であるかに洗脳されるが、その虚実を看破することは難しい。絶対的な神の律などあり得ないからである。帝国の崩壊を予期することさえ困難である。
『光の帝国』は帝国の中に暮らす人々には見えない、信じているからである。少なくとも信じているふりをしているからである。『光の帝国』はこの構図を客観的に提示したものと思う。
写真は『マグリット』展・図録より