
光の帝国と言いながら、この暗さは夜である。天空の青空との差異は何だろう。
帝国、皇帝(支配者)のもとの国家であれば、個人の自由な発想や行動には限度があり拘束は免れないという暗黙の律がある。
左端にある塔のような建屋は何だろう、そんなに高くなく、至近であり、頑丈そうに見える。おそらく《監視》ではないかと思う。少なくとも林(樹々)よりは高く見通せる配置である。
家々には疲弊しているかのひび割れが見え、明かりは照らすというより仄かに灯っているという感じである。そして道は右に向かって坂道になっている、すなわち緩い降下は衰退を暗示している。ここに画家が隠ぺいした意思、帝国への告発があるような気がする。
『光の帝国』は輝く王政をイメージさせるが、その内実を秘かに暴露した心情吐露ではないか。気のせいか、青空に浮かぶ雲の配列さえどこか規則ある順列に見える。まさかの天をも支配する勢いの片鱗を揶揄して描いたのかもしれない。あくまで否定ではなく肯定であり、ため息である。
写真は『マグリット』展・図録より