『完全なる調和』

 巨岩石・女・一葉…人工的な室内、そして背後の海と空(自然)
 この関係は何だろう。
 石は何を意味しているのだろう・・・。

 主なる神はとこしえの岩だからである(『イザヤ書』第26章)
 
 岩を背にしている、ということは否定なのだろうか。手に持つ一葉はノアの箱舟におけるオリーブを暗示しているのかもしれない。
『完全なる調和』は、完全なる破壊に通じる静かなる抗いかもしれない。答えを明かさないマグリットとの距離こそ完全なる調和に思える。

 肯定しつつ否定する、否定しつつ肯定する、このバランスだろうか。生命の神秘、人は女性の腹からしか生まれないという決定事項の神格化。(マリアは神の御神託によりキリストを生んでいる)

 この女に微笑みはなく信念めく強い眼差しで正面から目を逸らし何かを見つめている。目線は低くも高くもなく、しいて言えば、永遠の水平線である《真理》への眼差しであり、物理的根拠と精神的深淵の一致(調和)である。

 写真は『マグリット展』図録より