
『稲妻』
稲妻とは、空中電気の放電(電光)であり、それが雲に反映したものである。
作品においては花瓶に生けられた花の集合の部分に変化がみられる。なぜ、花なのか。稲妻が走る場合、劇的変化の彩色を見るが、この画では眩いばかりの光というより無彩色のグレーに変化している。
周囲(外気)の眩い光によって室内にある花が無彩色なグレーの色面、つまり、影…有るが無いものに変化している。
稲妻の光は視界を劇的に明るく照らし出すが、そのことによって見ている対象を見えなくする作用を生じさせる。
存在するものは、有るがまま存在しているだけである。しかし稲妻という現象は、物理的にも心理的にも、見ている対象を激変させてしまう。光の魔術は自然界におけるトリックであり真理である。
写真は『マグリット展』図録より