陽光はかなり部屋の奥まで差し込んでいる、晩秋から冬である。静かな海、小春日和の空気はやわらかい。
 白く浮き上がった壁は壁の色面を斜めに別ける。この斜線が水平線を切り、二本の垂直線(壁/柱)に対峙するバランスに狂いはない。 

 青の濃淡に対し、暖色(黄・赤/ローズ・黄緑・緑)は端に寄っている、あたかも重しのようなバランスである。
 彩色が語っている空気の密度はひどく解放され、自由なリズムを静かに奏でている。部屋に人は描かれていないが、確かな人の存在が垣間見える。風雅な落着きは、贅沢な空間を醸している。

 この平穏、危機の予兆のない時空は至福である。


 写真は『HOPPER』(岩波 世界の巨匠)より