
この画は、自分自身の存在エリアを思考したものかもしれない。
二十六日あたりの月・・・月が間もなく消滅(黒い月)になるn予兆である。すでに消えかかる時間、真昼だが暗く星が見え、月が見えるという不条理。
立ちはだかる山は飛び立つことの出来ない鷲の悲哀を孕んでいる。無窮の空へ、あるいは何かを捉えることを希求しているが、翼をひろげたまま停止している。
手前のブロックの上には鳥の巣、卵が三つ光に照らされている。
鷲の卵だろうか、未来に託す意だろうか。輪廻、循環・・・生命の連鎖を暗示している。
真理と思われる順行、不条理と思われる昼夜の同時性、山(無機)と鷲(有機)の置換、卵に見える生命連鎖の時間(歴史)…順行と逆行の錯綜。
物理の世界でありえないことも精神界では通用することの証明、ここには静かなる強暴が垣間見える。
写真は『マグリット』展・図録より