『イレーヌ・アモワールの肖像』

 肖像画・・・三つの手鏡があり、中央は彼女の顔、左は燃え上がる炎(情熱)、右は馬の鈴(言葉/発言)が各描かれており、静かな海と晴れ渡った空がバックである。 年齢、性格が即読み取れる顔。美しく賢い、そして何かを見抜く叡智、同時に威嚇するような厳格さをもつ眼差しである。

 しかし、これらの感想は、彼女への偏見、虚像を見ているに過ぎないかもしれない。この鏡の立脚の不安定さ、脆くもすぐ崩れ落ちる見かけにすぎない。
 曇りない青い空や穏やかな海、彼女に隠された本質はきっと・・・。

 見かけとはこのように不安定な印象にすぎない。あるいは二面性があり、彼女は捉えることが困難なほどの、奥深く広い世界を有しているのかもしれない。人には隠された宇宙(世界観)があるに違いない。


 写真は『マグリット』展・図録より