背景は漆黒である。無、あるいは混沌・・・まず否定ありき、の世界だろうか。
 ロウソク(自身の根源的な思い、発露)はマグリット自身を強く照らしている。烈しい問いであり、疑惑である。何かを嗅ぎつける鼻は過敏に膨張し、彼の吸うパイプの中に差し込まれている。感性は自身のなかで答えを探すべく巡回する。

 ロウソクの仄かな灯りは増幅され強烈な陰翳を作っているが、曖昧さの回避、黒白の決着、解明への強い意志である。

 わたくしは暗闇の中でひっそり生きているが、思いは事のほか、深く強い。誰かに伝えたいというより、あくまで自身に向き合い自身の応えに執着している。自身から発し自身へと帰る世界は、他人に強要しないどころか解釈などでわたし自身に触れてほしくない。それほどに鋭敏かつ辛酸さを伴う影の部分なのである。

 作品は、わたし《マグリット》から離れ、自由に歩きだすように描いている。
 ひとつの寓意・・・万人共通の郷愁を誘う真理である。わたし自身はあくまでも闇の中の存在でありたい。


 写真は『マグリット』展・図録より