
『ジョルジェット』
風変わりな肖像画、室内の壁の彼女の横顔と少し斜めを向いた顔が描かれている。美しさの上に明晰かつ冷静な眼差しがあり、卑劣さを微塵も感じない純な風貌である。彼女の控えめで強靭な精神は、屋内の影に描くことで浮上する。
彼女の上方に卵が一つ、落ちれば割れるが、落ちることも割れることもない静謐、緊張感ある静けさを感じる。枝葉に関しても同じことが言えるが、自然、ナチュラルな思考の持ち主であるとの付言。羽毛も見えるが、軽やかでしなやかな性格を言っていると思う。
彼女の顔を照らす蝋燭…これはマグリット自身ではないか。外気の明るさに比べたら自分はこの程度なのだという自嘲である。下部にある鍵と手紙、これはとりもなおさず彼女へのラブレターであり、秘めた愛情、感謝に違いない。
波風の立たない平和な日常、すべて彼女、ジョルジェットに因している。
彼女がすべてである!!
写真は『マグリット』展・図録より