
『凌辱』
凌辱、人に恥をかかせること、女性を力づくで犯すことである。
頭部は失われ、胸部や陰部が顔を模している。乳房は両目に、臍は鼻に、陰部は口に・・・荒々しいとも思える髪の毛で覆われた疑似顔。
直視することの躊躇い、拒否感、あらゆる負の感情が見る者を襲う。
ここにはなぜタブーがあるのだろう。
人はまず陰部を隠す、隠すべきものだと深く脳に刻まれた反射的行為である。
裸身の誘惑は皆無であり、おぞましく忌み嫌う感情が先立つ。アイデアと言った面白さにも欠け、不道徳を指摘されることは間違いない。
女体における神秘性を犯しているからである。
人の身体には絶対的な信憑性があり、犯し難い真実によって存在を究めているからである。
真っ青な空、平坦な地平である背景は《無》を象徴する。翳りのない空無・・・。
『凌辱』は、俗悪・グロテスクの深淵を揺さぶり、喚起させる。意表を衝くこの画は《真実の尊厳》を告げている。
写真は『マグリット』展・図録より