葛の花来るなと言つたではないか

 葛の花、立ち上るように上に向かって花を咲かせていく。その蔓は地上を這うのではなく、触るものさえあれば上へ上へとどこまでもという勢いで、垂直に立ち上っていく。
 声の主は葛の花を後ろに見ている。つまり、地上にはいない。作者の気持ちはすでに天上へと昇っていく渦中にある。
 天へ向かう意思・・・死の決意。

《誰も来るなよ!決して、断じて!》

 飯島春子の決別。凄まじくも凛とした強烈な惜別の句である。