大地は岩石である、草も生えない荒地であるのに点在する樹木は繁っている。
 空は淡いブルーに白雲、否、多少黒ずんでいるのは不安不穏の兆しを孕んでいる。

 しかし何よりも驚くべきは、人型(ビルボケ)がそれらを圧して大きく、大地を見下ろしていることであり、さらには切り紙(叡智、時間の概念)があり、その背後には馬の鈴(伝説、歴史、流言)が聳え立っていることである。

 この不思議な構図(設え)は写真館で撮る家族写真のようでもある。わが一族というか、わが人類(内実)の組み立てである。男女のビルボケ(人に模したもの)は、ルーツであり、DNAをたどる父母(先祖)に思える。
 不毛の地に茂る樹木は、豊かというより生きるため必須の酸素供給源、あるいは希望の具現かも知れない。

 縷々続く人間界の歴史、そのルーツ。硬質、無機質な眺望に未来はあるだろうか。
 もの悲しい光景である。存在の根拠に欠けており、どこへ向かっているのかさえ不明である。
『告知』は何かの誕生ではなく、すでに揺るぎ始めている人間の確信への警告かもしれない。


 写真は『マグリット』展・図録より