
画面は大きく黒い線の対角線が引かれている。
これは大いなる否定としか思えない。美しくなく心魅かれる観点に欠ける画であり、あたかも見ることを拒否しているようでもある。
つまり、これは主張である。
『本来の意味』という根源的な問いに対する答えである。
本来という言葉さえ、ある意味不明である。(本来)の根拠は辿れば辿るほど人智が育てた観念に行き着き、霧消してしまうのである。
本来という概念は確かに在る、しかし、それは言語、組織、流通、分別といった物理的に説明可能なプロセスに限られ、精神的な領域においての『本来の意味』は曖昧模糊としたイメージにすぎず決定は不可能である。
無限とも思われる宇宙空間の広がりの中で、(本来)を掴みうる根拠を発見するのは困難である。
黒い対角線は後に引かれたものでなく、四つの世界(領域)が漆黒の画面から穴を空けた亀裂(領域)かも知れない。漆黒(無)より進出したものが、天空であり、混沌、人智、言語であり、時間は不確定である。
『本来の意味』は投げ出された『問』であり『答』である。
写真は『マグリット』展・図録より