
言葉はこの自然界、生物群において唯一人間だけが使用し得る伝達法であり媒介である。
この画の下半分の煉瓦は《火あるいは太陽熱》を使用するもので、人類が初めて手に入れた革命である。上半分の暗緑色は混沌であり、時空は不明である。要するに言葉(文字)がどの時点、どの領域で発生したのかを決定づけるのは困難であるということである。
ことばはもともと合図であり、対象者との合意の印であるが、長い歴史の中で積み重ねられたデータをもとに形成されたものであり、国(エリア)ごとに差異があるのはむしろ自然なことである。ゆえに異国人には理解しがたい文字の羅列と化すこともやむを得ないことである。
言葉は常に意味を所有しており、言葉=その物(状況)という約束が暗黙の裡に成立しているはずである。しかし、この画においては、通常(観念)の約束を混乱させる図式にある。
『ことばの用法』とは意味を表明するとともに、意味を破壊することもできる暴力的な用法が潜んでいるということである。
これはある意味《警告》ですらある。
写真は『マグリット』展・図録より