ことば(言葉)は約束である。
 故に、canon、corps de femme、arbreと書けば、canon、corps de femme、arbre以外の何物でもなく、それは決定になる。その言葉は動かせないから言葉を基点として他を推しはかるという順位である。

 言葉は対象もしくはそのものを指す伝達媒介であるから、実態ではない。
 言葉=実態でない場合、人は譲歩する傾向にある。だからこの画の場合でも、なんとかcanon、corps de femme、arbreをその描かれたものに結びつけようとする。

 経験あるいは学習した情報、つまり観念という物差しに合致しない事例では答えを見出せない。
 言葉がその対象物を否定するのである。あり得ない状況だが、言葉の始まりは数多の事例を重ねた結果の同意である。
 
『ことばの用法』には肯定と否定があり、多くの場合は肯定的に使われているだけなのである。否定は禁句であり、あえてその用法を選択することがないだけである。


 写真は『マグリット』展・図録より