出現とは何だったろう。存在を自覚する、認識までの時間。
 存在のルーツをたどれば、やはり奇跡であり、何かのはずみで分子構造に破綻をきたしただけなのだろうか。

 存在を認識する行為、すなわち人類の原初である。
 菱形の連鎖、菱形は他の動物には表現し得ない形状であり、環としての終結、環が切れる、あるいは環になろうとするプロセスは、時間という進行を暗示している。

 彩色の違い、三原色は光の認識であり、視覚の発見である。すべては見えることから始まり、見える対象(世界)があることに気づいたところから人類の知覚が構成されていく。
 マグリットは自分(存在)の原点を眺望し、結果としての彩色(光)と混沌(闇)だったのだと思う。拓く、その始まりへの挑戦である。


 写真は『マグリット』展・図録より